離婚までの流れ
離婚は離婚届を出すだけで終わるものではありません。
協議離婚するにしても、離婚届を提出する前に話し合って決めなければならないことがたくさんありますし、調停離婚の場合も調停を成立させる必要があります。
離婚までの流れについて解説します。
4つの離婚方法
離婚する方法には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚の4種類があります。
- 協議離婚は、夫婦が話し合いにより離婚することに合意し、離婚届に署名して提出する方法です。
- 調停離婚は、家庭裁判所で調停委員を介して離婚に向けた話し合いを行い、合意が成立すれば、離婚できるというものです。
- 審判離婚は、調停が不成立となった場合でも、その夫婦が離婚するのが適当と家庭裁判所が判断した場合に、裁判官が審判を下すものです。
- 裁判離婚は、調停が不成立しなかった場合に、家庭裁判所に提起することができるものです。法定離婚原因がある場合は、裁判官が離婚を認める判決を下します。
離婚したい場合は、まず、協議離婚を試みます。
話し合いがまとまらない場合は、調停離婚に進みます。
調停も不成立になった場合に、審判離婚、または、裁判離婚が最終手段となります。
協議離婚の流れ
協議離婚は、夫婦の話し合いにより離婚を試みる方法です。
夫婦の話し合いで一致すれば、どのような理由でも離婚が可能になります。
離婚するには、民法770条に規定されている5つの法定離婚原因のいずれかに該当している必要があると言われることがありますが、協議離婚の段階ではその必要はありません。
ただ、法定離婚原因があれば、最終的に裁判離婚が認められるため、協議離婚も成立しやすいと言えます。
協議離婚の流れを確認しましょう。
夫婦で話し合いを行う
離婚したいと考えている場合は、まず、夫婦で話し合います。
相手の不貞行為を理由に離婚を求める場合は、証拠を用意してから話し合ったほうが良いこともあります。
性格の不一致を理由とする場合は、自分の気持ちを正直にかつ冷静に伝えることが大切です。
離婚協議書を作成する
離婚することで一致したら、離婚の条件を決めます。
離婚の条件として決めるべきことは、夫婦の年齢や子供の有無により異なりますが、おおむね次のことを決める必要があります。
- 親権者
- 養育費
- 面会交流
- 財産分与
- 慰謝料
- 年金分割
- 不動産や住宅ローン
取り決めした内容は、離婚協議書などの文書として残します。
養育費の支払いなどのように、相手に長期間にわたり支払いを求める場合は、強制執行認諾条項付き公正証書を作成すべきです。
離婚届を提出する
離婚届は、市区町村役場の窓口に提出します。書式も用意されているため、書き方に従って署名するだけで足ります。
成人の証人2名の署名が必要になるため、親戚や友人に署名をお願いする必要があります。
調停離婚の流れ
協議離婚を試みても、話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停離婚の申立を検討します。夫婦だけでは話がまとまらない場合でも、第三者である調停委員が間に入ることで、離婚に向けて話をまとめられることもあります。
家庭裁判所に調停を申し立てる
調停離婚を試みたい場合は、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚)」の申立を行います。
申立先は相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所です。
調停に出席する
申立が受理されると、調停期日が指定されるため、期日に家庭裁判所に出向いて話し合います。
調停期日は、月1回程度のペースで設けられ、当事者間で話がまとまるか、調停不成立と判断されるまで続きます。
調停での話し合い
調停で話をする相手は調停委員です。調停委員が夫婦から個別に話を聞いて、意見の調整を進めていく形になります。
そのため、相手方の言い分は調停委員を介して聞く形になりますし、自分の意見も調停委員に伝える形になります。
調停成立
数回の調停期日を経て、合意に達した場合は、調停調書が作成されます。
調停調書が作成されるだけで離婚の手続きが完了するわけではないため注意が必要です。
調停が成立してから10日以内に、離婚届と調停調書謄本を市区町村役場に提出しなければなりません。
審判離婚
審判離婚は、調停手続を経たうえで、調停が成立しなかったものの、家庭裁判所がその夫婦を離婚させたほうが良いと判断した場合に審判という形で離婚すべきとの判断を下すものです。
審判離婚となるのは、調停離婚の申立がなされており、離婚の合意や離婚の条件が大筋で合意できているのに、些細な食い違いで調停成立に至らなかったような場合や、相手方が出席しない場合になされることがあります。
当事者が審判離婚を申し立てる方法はありません。あくまでも家庭裁判所の職権で行われるものです。
審判離婚がなされた場合、当事者は2週間以内ならば、異議申し立てを行うことができます。異議申し立てがない場合は、審判離婚が確定します。
裁判離婚
離婚に向けて調停がなされたにも関わらず、調停離婚や審判離婚が成立しなかった場合に、裁判離婚を試みることが可能になります。
いきなり裁判離婚を試みることはできず、原則として、調停を経る必要があります。
家庭裁判所に訴状を提出する
裁判離婚するには、まず、夫又は妻の住所地を受け持つ家庭裁判所に対して訴状を提出します。
口頭弁論が開かれる
家庭裁判所から口頭弁論期日を指定されるため、その期日に出席して、お互いの主張を述べ合う形になります。
和解成立または判決が出る
家庭裁判所は、夫婦双方の言い分を聞いたうえで、離婚条件などで折り合いがつきそうな場合は、和解を勧告することがあります。夫婦が合意すれば和解が成立します。
和解が難しい場合は、裁判所が離婚の可否や離婚条件を判断し、判決という形で結論を出します。
判決離婚となった場合は、当事者が離婚に反対していたとしても離婚が成立します。
ただ、判決に不服がある場合は、控訴することも可能です。
夫婦の双方が控訴しない場合は、判決が確定するので、10日以内に判決謄本と確定証明書を添えて市区町村役場に離婚届を提出します。
まとめ
離婚には、4つの方法があることを紹介しました。
いずれの方法で離婚するにしても、有利な条件での離婚を目指すには、法的な知識が必要です。
少しでも有利な条件で離婚したい場合や話がなかなかまとまらない場合は、一度弁護士にご相談ください。