離婚の際に取り決めた財産や養育費を支払ってくれない!|対応策を弁護士が解説!
離婚した際、取り決めた財産分与や養育費の支払いを必ず相手が支払うとは限りませんよね。相手の経済的事情や支払い意思の欠如、または連絡が取れないなどが考えられます。今回はそういった際、泣き寝入りしないように、高の原法律事務所の坪田弁護士に財産分与や養育費が支払われない際の対応策について解説してもらいました。
初期対応は話し合い
――離婚後、約束どおり相手がお金を支払ってくれない際、最初に何をしたらいいですか?
まずは相手に連絡をして支払いを催促してみましょう。電話でも対面でもOKです。場合によってはSNSもありでしょう。
話し合いで解決できるのがもっともベストです。
相手がなぜ支払いできていないのかを確認することが大切です。
連絡がつかない場合や、相手が話し合いに応じてくれそうにない場合は、弁護士に相談してみたり、内容証明郵便で支払いを促したりといった手段が有効でしょう。
法的手続きによる解決方法
――話し合いがうまくいかなかった際は、法的手段でしょうか?
連絡を無視されるなど、相手が応じてくれない場合は、法的手段を取るほかないでしょう。行える法的手段としては次のようなものがあります。
- 履行勧告
- 履行命令
- 強制執行
いきなり強制執行するのではなく、まずは履行勧告や履行命令で裁判所からもプレッシャーをかけてもらうのが一般的です。それぞれ解説しますね。
履行勧告
家庭裁判所に申し立てることで、相手に対して支払いを促す「履行勧告」ができます。相手に心理的なプレッシャーを与え、支払いを促す手段として有効です。
費用をかけずに手続きがすぐにできる点がメリットです。
ただし支払いを強制させることはできません。
履行命令
履行勧告同様に、家庭裁判所に申し立てを行うことで養育費の支払いを命令できます。
もし相手がこの命令に従わなかったら、過料(10万円)が科せられるため、履行勧告よりは相手に心理的プレッシャーをかけられます。
ただし履行勧告同様に、強制はできません。
強制執行
履行勧告や履行命令に応じてもらえない場合は最後の手段として強制執行があります。強制執行は、裁判所の命令に基づいて相手の財産や給与を強制的に差し押さえ、債務を回収する法的手続きです。
しかしこの手続きを進めるには、後述する公正証書など相手の支払い義務を証明する書類の取得や、費用が伴います。
強制執行ができれば、相手が所有する不動産も差し押さえの対象です。サラリーマンの場合は給与の2分の1まで差し押さえられます。
公正証書にしておこう
――公正証書を作成しておくことが大切なのですね。
そのとおりです。離婚時の財産分与や養育費の取り決めを確実に履行させるためには、口約束や当事者間で合意書を作成するのではなく、話し合った内容を公正証書にしておくことをおすすめします。
この書類は公正役場で公証人に作成してもらうものです。「強制執行認諾文言付きの公正証書」にしておくと、相手が支払いを怠った際、裁判所を介さずに給与や財産の差し押さえを即座にできます。法的な強制力があり、未払いリスクを大幅に軽減できるでしょう。
財産や養育費回収の際の注意点
――回収の際に何か注意しておくことはありますか?
未払いの養育費は5年または10年の時効があるため、注意が必要です。手遅れになる前に早く対策していくことが大切です。
困った際は弁護士に相談
――ひとりでの解決に行き詰ったり、不安で心配になったりした際はどうしたらいいですか?
未払い問題に直面したら、ぜひ弁護士に相談してみてください。法的手続きや、履行命令や強制執行の申請などを代行してくれるので精神的な負担が軽減します。
また公正証書がないようなケースでも、弁護士なら未払い分を回収できるかもしれません。
感情的になりやすい話し合いの場面でも、弁護士が間に入ることでトラブルを避けつつ、迅速かつ確実な回収につながりますよ。