共同親権と監護権の違いとは?2026年改正後の決め方と注意点を解説
共同親権と監護権の違いが分からない方は必見。この記事では、2026年4月施行の改正民法をもとに、共同親権における監護権の決め方や運用上の注意点を解説します。記事を読めば、自分のケースに当てはめて理解できるようになるでしょう。
共同親権と監護権について以下のような疑問を持っていませんか。
- 共同親権と監護権は何が違うのか分からない
- 2026年の法改正で子どもの養育がどう変わるか不安
- 離婚後に監護権をどう決めればいいか分からない
実は共同親権のもとでの監護権の扱いは、状況によって大きく異なります。2026年4月施行の改正民法により、離婚後も父母双方が親権を持つ形が選べるようになり、監護権との関係が複雑になったからです。
この記事では、共同親権と監護権の違いから、改正後の決め方・注意点までを解説します。この記事を読むと、自分のケースで監護権がどう扱われるかを理解した上で、適切な判断ができるようになるでしょう。
目次
共同親権と監護権の基本を理解しよう
共同親権と監護権は、混同されやすい言葉です。しかし、両者の意味と役割は明確に異なります。離婚後の子どもの養育を適切に進めるために、基本的な定義を押さえておきましょう。それぞれの内容を以下で詳しく解説します。
親権とは何か:身上監護権と財産管理権の2つで成り立つ
親権とは、未成年の子どもを一人前の社会人として育てるために、父母に認められた権利と義務の総称です。内容は大きく2つに分かれます。
1つ目は、子どもの日常生活の世話や教育、居所の決定などを担う身上監護権です。
2つ目は財産管理権です。子どもの財産を管理したり、契約などの法律行為を代理したりする権限が含まれます。
改正民法では親の責務が新たに明文化されました(民法817条の12)。具体的には以下の3点です。
- 子どもの人格を尊重し年齢や発達に応じて養育する
- 自分と同程度の生活水準を保てるよう扶養する
- 婚姻関係の有無にかかわらず子の利益のために互いを尊重し協力する
つまり親権は、単に「子どもと暮らす権利」ではありません。子どもの心身の成長を支え、財産面でも守る、幅広い責任を伴う権利義務といえます。
監護権とは何か:日常の養育に関わる権利
監護権とは、親権を構成する2つの権利のうち、身上監護権に該当する部分を指します。簡単にいえば「日常生活において子どもを育てていく権利」です。具体的には以下の権利が含まれます。
| 監護権の種類 | 権利の内容 | 根拠法令 |
| 監護教育権 | 子どもの世話をして教育する権利 | 民法820条 |
| 居所指定権 | 子どもの住む場所を決める権利 | 民法822条 |
| 職業許可権 | 子どもの就業を許可・制限する権利 | 民法823条 |
前述の親権との関係を整理すると以下の通りです。
- 親権=身上監護権(監護権)+財産管理権
- 監護権=身上監護権の部分のみ
つまり監護権は親権の一部です。原則として親権者が監護権を行使します。ただし、離婚時の合意や裁判所の判断によって、親権者と監護権者を別々に定めるケースもあります。監護権は、子どもの日常生活に直結する重要な権利だと理解しておきましょう。
共同親権と監護権の違いを整理する
共同親権と監護権は、似て非なる概念です。監護権は親権の一部であり、両者は上下関係にあります。
原則として、親権者が監護権を行使します。一方で父母の合意や裁判所の判断によって、親権者と監護権者を別々に定めることも可能です。その場合、監護権者による養育行為が正当である限り、親権者はその結果を尊重しなければなりません。
共同親権のもとでは、父母双方が親権を持ちつつ、実際に子どもと暮らして監護する側を別途定めるケースも想定されます。親権と監護権の違いを正しく把握することが、離婚後の養育を円滑に進める第一歩といえるでしょう。
2026年4月施行|改正民法で何が変わったのか
2024年5月に離婚後の親権制度を大きく見直す改正民法が成立し、2026年4月1日に施行されました。最も重要な変更点は、離婚後も元夫婦の父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになった点です(民法819条1項)。
改正前は、離婚後は必ず父母のどちらか一方が単独で親権を持つ制度でした。改正後は、父母の協議によって共同親権か単独親権かを選べるようになっています。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所が子の利益を最優先に判断します。
ただし、共同親権は新しい制度であり、関連する判例や実務の蓄積はまだ少ない状況です。今後の裁判所の運用を注視する必要があるといえるでしょう。
共同親権のもとで監護権はどう決まるのか
共同親権のもとで監護権がどう決まるかは、子の利益を最優先に判断されます。改正民法施行後の実務はまだ蓄積途上ですが、従来の裁判所の判断基準を参考にするのが妥当です。具体的には、以下の事情が考慮される傾向にあります。
- これまで主に世話をしてきた親はどちらか(主たる監護者)
- 虐待・ネグレクトの有無
- 子どもの意思(おおむね10歳ごろから考慮し、15歳以上は聴取)
- 兄弟・姉妹を分離しない配慮
- 面会交流への協力姿勢
- 親族によるサポート体制・健康状態
父母間で合意できない場合は、家庭裁判所が判断します。その際、育児分担の記録や通院・学校連絡の履歴など、具体的な資料が判断材料となるでしょう。
共同親権における監護権の具体的な運用
共同親権のもとでも、監護権の行使は全ての場面で父母の合意が必要ではありません。改正民法では、場面に応じて単独行使できるケースが定められています。以下で5つのポイントを見ていきましょう。
日常の行為は単独で決定できる
共同親権のもとでも、日常的な養育行為は父母の一方が単独で決定できます。改正民法では「監護及び教育に関する日常の行為」について、単独での親権行使を認めています(民法824条の2第2項)。
具体的な行為は、食事・服装・習い事・通常のワクチン接種などです。子どもに重大な影響を与えない日常的な事柄が対象です。
なお、単独行使は同居親だけでなく、面会交流中の別居親にも認められています。目の前で子どもを世話する親が、面会交流の都度合意を取らずに行動できるよう配慮された規定です。
参考:法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」(Q4-10、Q4-11)
重要事項は父母の共同決定が必要
子どもの生活に重大な影響を与える事項は、父母が共同で決定する必要があります。具体的には、転居・進学先の決定・重大な医療行為・財産管理などが該当します。
共同決定は、必ずしも父母双方の署名・押印を求めるものではありません。一方が他方の同意を得た上で手続きを進める形でも、共同の意思決定とみなされます。同意は黙示的なものでも構いません。
ただし、一方が無断で重要事項を決定した場合、親権者の変更審判などで不利に考慮される可能性があります。慎重な対応を心掛けてください。
参考:法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」(Q4-3)
急迫の事情があれば単独行使ができる
子の利益を守るために一刻を争う場面では、父母の協議を待たずに単独で親権を行使できます。改正民法では、これを「急迫の事情があるとき」として認めています(民法824条の2第1項3号)。
想定される具体的な場面は以下の通りです。
- DVや虐待からの避難(転居を含む)
- 緊急の医療行為が必要な場合
- 入学手続きの期限が目前に迫っている場合
なお、DVや虐待からの避難については、加害行為が現在進行中の場合だけではありません。その後も急迫の事情が継続すると判断される場合も含まれます。
参考:法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」(Q4-9)
監護の分掌とは何か:父母で分担する新しい形
監護の分掌とは、子どもの監護を父母が役割分担して行う仕組みです。改正民法では離婚時に父母が協議で定める事項の1つとして、監護の分掌が明記されました(民法766条1項)。
具体的な分担の形はさまざまです。「平日は母親、週末は父親が監護する」という期間での分担や、「教育に関する事項は父親が担う」という内容面での分担も考えられます。
ただし、監護の分掌は新しい概念であり、実務での運用はまだ発展途上です。父母間の合意が前提となるため、双方が子の利益を最優先に話し合うことが不可欠といえるでしょう。トラブルを未然に防ぐために、取り決めた内容は離婚協議書等に明記しておくことも重要です。
参考:法務省「Q&A形式の解説資料(民法編)」(Q4-34)
親権者と監護権者を分けるケースと注意点
親権と監護権の分離は例外的な対応であり、原則として親権者が監護権を行使します。ただし、父母の合意があれば分離は可能です。財産管理に問題がある場合など、特別な事情がある場合に限り、裁判所が分離を認めることもあります。
分離した場合の注意点が1つ挙げられます。子と離れて暮らす親権者の同意が、財産管理や法律行為の場面で必要になる点です。同意が得られないと手続きが滞り、子育てに支障が出るリスクがあります。公正証書等で取り決めの内容を明確にしておくことも考えられるでしょう。
共同親権・監護権をめぐるトラブルと対処法
共同親権と監護権をめぐっては、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。特に問題となりやすい3つのケースと、それぞれの対処法を以下で紹介します。
DVや虐待がある場合は単独親権になる
子どもへの虐待やDVの恐れがある場合、裁判所は単独親権を定めなければなりません(民法819条7項)。共同で親権を行使することが子の利益を害すると判断されるためです。
対象となるDVは身体的暴力に限りません。以下のような行為も含まれます。
- 継続的な暴言や人格否定などの精神的DV
- 生活費を管理・制限するなどの経済的DV
- 性的な強要などの性的DV
父母間の深刻な対立が続き、共同での意思決定が現実的に困難な状況も、単独親権が認められる方向に働く可能性があります。DVの被害を受けているなら、早めに弁護士へ相談しましょう。
父母間で合意できない場合は家庭裁判所が判断する
共同親権か単独親権かで父母の合意が困難な場合、家庭裁判所に親権者指定の調停・審判を申し立てられます。離婚自体は合意していても、親権のみ未解決の状態で協議離婚の届け出をすることも可能です。
裁判所は、父母の主張の強さではなく、子の利益の観点から判断します。具体的には、父母と子の関係・養育実績・家庭環境・子どもの年齢や意思などを総合的に考慮します。
共同親権か単独親権かは、どちらが原則というわけではありません。家庭裁判所が個別の事情を勘案した上で、最善の判断が下される仕組みです。
既に離婚済みの場合は共同親権に変更できる
改正民法の施行前に離婚して単独親権となっている場合も、親権者変更の申し立てによって共同親権に変更できます(民法819条6項)。自動的に共同親権に切り替わるわけではないため、希望する場合は手続きが必要です。
変更が認められるかどうかは、子の利益のために必要かどうかという観点から家庭裁判所が判断します。父母と子の関係・父母間の関係・その他のあらゆる事情が考慮されます。
共同親権は新しい制度であり、変更がどの程度認められるかは実務の蓄積を待たなければなりません。個々の状況に応じた判断が求められます。
共同親権・監護権に関するよくある質問
以下では共同親権・監護権に関するよくある質問に答えていきます。
- 共同親権の監護の分掌とは?
- 共同親権は選択できるの?
- 母親が親権を取れないケースは?
共同親権の監護の分掌とは?
監護の分掌とは、子どもの養育を父母が役割分担して行う仕組みです。分担の方法は大別して2つ考えられます。
1つは時間で分ける方法で、「平日は母、週末は父が養育する」といった形が該当します。
もう1つは内容で分ける方法で、「教育に関する決定は父、日常生活の世話は母が担う」といった役割分担です。
いずれの形も、父母の合意を前提とします。子の利益を最優先に話し合って決めることが重要です。
共同親権は選択できるの?
2026年4月以降、離婚後の親権は父母の協議で共同親権か単独親権かを選択できます。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所が判断します。
共同親権を選んだ場合、監護権は父母が分担する形と、一方が単独で担う形のどちらも可能です。ただし、父母間のコミュニケーションが困難な状況での共同親権は、運用が行き詰まるリスクもあります。
離婚時に監護の方針をしっかり取り決めておくことが、後のトラブル防止につながります。
母親が親権を取れないケースは?
親権者の決定では、母親だからといって必ずしも有利とは限りません。裁判所が最優先にするのは子の利益であり、以下のようなケースでは母親が親権を取れない可能性があります。
- 育児放棄や虐待が認められる場合
- 日常的な育児にほとんど関わっていない場合
- 子どもが父親との生活を強く望んでいる場合
- 心身の健康状態に深刻な不安がある場合
- 薬物依存など犯罪に関わる問題がある場合
親権は母親優先という固定観念は、現在の法律には存在しません。養育実績と子の福祉が判断の中心です。
まとめ:共同親権と監護権の違いを正しく理解しよう
共同親権と監護権は、子どもの養育に関わる重要な概念です。監護権は親権の一部であり、日常的な養育を担う権利を指します。法改正により、離婚後も共同親権を選択できるようになりました。
共同親権のもとでの監護権の運用は、日常行為・重要事項・急迫の事情によって単独行使か共同行使かが変わります。状況によっては、監護の分掌や親権者と監護権者の分離という選択肢も考えられます。
制度は新しく「自分のケースではどう判断されるのか」と迷う場合は、1人で抱え込まずにご相談ください。離婚問題に詳しい当法律事務所が、状況に応じた解決策をサポートします。
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